信者ビジネスや情弱ビジネスと、ファンビジネスの違い

ずっと考えていたテーマ「信者ビジネス」「情弱ビジネス」などと、普通のファンビジネスとの違いについて考察をアウトプットしてみます。
itaru hamamoto (至)
2021.03.07
誰でも

ちょっと前にこんな Tweet をしました。

オンラインサロン等で運営されており、よく炎上しているところを見る「信者を食い物にしている」「情弱から搾取している」と揶揄されるビジネス。

我々が運営している「theLetter」は、やろうと思えば同じように使うことができてしまうシステムを持っています。(ゆえにリソースの少ない今はウェイティングリスト経由からのサインアップのみにしています)

そのような使われ方をされ問題が起きた時に、何らかの措置をするためには、運営者の我々自身がそういったビジネスをよく理解しなければなりません。

今回のニュースレターでは、そういった事について非公式に自分の考え方を綴ってみます。

***

コンテンツ業はサービス業になっていく

音楽業界が CD を販売していたコンテンツ業時代から、ストリーミングや動画配信、ライブ集客、グッズ販売と多面的なサービス業になってきているように、あらゆる商品がサービス業化していると考えています。

もしかすると「モノではなくコト・体験を売りなさい!」みたいな言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

今や、アーティスト含めクリエイターたちは、SNS での交流や、ファンとインタラクティブに商品をつくるような「体験」を売るサービス業へと転換してきています。

デジタル・ジャーナリズムは稼げるか―メディアの未来戦略』という、ジェフ・ジャーベス氏の著書でも、

私はジャーナリズムもサービス業の一つだと考えている。コンテンツは、そのサービスに必要な道具だ。サービスには、必ず何か達成すべき目的がある。ニュースを作って流して終わりではなく、ニュースを流したことで得られる結果が重要になるのだ。ジャーナリストにとって、望ましい結果とは何か。それは明らかだ。個人、そして社会が十分に情報を得た状態になることである。
デジタル・ジャーナリズムは稼げるか―メディアの未来戦略

と説明されています。

theLetter が記事の単品売りをせず、月額のビジネスモデルを取るのもそういった背景があります。書き手様には一部ご不便もかけているかと思いますが、1 記事 1 記事を単品商品として売るというコンテンツ業ではなく、毎週や毎月、できれば決まった日に質の高いニュースレターが届く習慣性や、書き手との交流、応援の体験、、、そういったサービス業を長期的に支援したいと今のところは考えています。

すごく広く曖昧な定義でいうと、デジタル上のサービス業は一種のファンビジネスなのかもしれません。ファンビジネスというとアイドルなどを思い浮かべるかもしれませんし、一部の書き手様は嫌悪感すら抱くでしょう。しかし、ここは広い意味で捉えてください。笑

いわゆる信者ビジネス・情弱ビジネスと揶揄されるビジネスも、ファンビジネスの一部かもしれません。しかし、私はそこに明確な違いをつけて整理することにしました。

まずは、信者・情弱ビジネスについて整理し、そこからファンビジネスとの違いについて説明していきたいと思います。

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そもそも信者・情弱ビジネスとはどんなもの?

私がなぜこのトピックに興味を持ったか?というと、信者・情弱ビジネスは忌み嫌われる一方で、「なぜダメなのか?」をスッキリ説明している記事が少なかったからです。確かに私も、気持ち悪いなと思いつつも、なんでダメなの?という疑問をいつもスッキリ説明できずにいました。

例えば情弱をカモにしたようなビジネス。情弱に対して商品を売る、それって書籍だってニュースだって同じじゃないのか?一次情報を取りに行くジャーナリストやライター、研究者からすれば、誰だって情弱ではないのか?とか、このあたりの考え方がゴチャゴチャしていました。

田端信太郎さんの『「信者ビジネス」の最新トレンド「オンラインサロン」 #田端大学 はどのように「信者」を集めているのか』という note 記事では、信者ビジネスを

全てのブランドビジネスは「信者ビジネス」です。
ジャニーズ、スターバックス、アップル…など多くのファンに愛されるブランドはその典型です。お客様は、その商品やサービスがどうしても必要なのではなく、「〇〇の商品だから」買いたいのです。
(中略)
オンラインサロンの場合は、サロン主こそが商品です。信仰の対象が人であるがゆえに、より一層宗教っぽさが際立っています。

と説明されていました。つまり、信者ビジネスはブランドビジネスと同じであり、対象がサロン主の「人」であるがゆえに気持ち悪さが出やすいが、本質的には同じもの、といった説明です。しかし、音楽アーティストによるファンビジネスだって、アーティスト本人を商品とした「人」に対する信者ビジネスと言えなくもないですが、気持ち悪さはありません。

そして、情報の非対称性をビジネスにする、信者を集めてビジネスにする、というスキームだけでみれば、情弱ビジネス vs ジャーナリズム、信者ビジネス vs ファンビジネスはそれぞれ区別がつきません。

しかし、それぞれの両者は一般的に同じものとは到底思われていないと思います。自分も色々調べて考えましたが、この違いにはどうやら、信者(ファン)側の行動に着目するとスッキリ理解できるような気がします。

***

信者ビジネスとファンビジネスの違い

違いを理解するには、信者・ファンに着目します。

まず、ファンビジネスはあくまで応援のためにお金を払っている、つまりクリエイターとファンの間で取引が完結します。ときには友人にオススメしたりもするでしょうが、あくまでスタンスとしては自己満足の世界です。

ところが信者ビジネスは、教祖と信者の間で取引が完結しない部分に対して、周囲からとくにヘイトを買っているように思えます。なぜ教祖と信者の間で関係が完結しないかというと、そもそも信者側が教祖を応援すること以外の欲求があるからだと考えています。

つまり、教祖を純粋に応援しているのではなく、成功したい・お金持ちになりたい・仕事ができるようになりたい・モテたい、みたいな欲求から始まり、そのサロンに how to を求めにきており、その欲求を満たしたいという構造があるのです。教祖へのエンゲージメントではなく、自分の欲望・利益のためにそのサロンに集まっています。

サロンの売り方にもそれは表れています。「人生このままでいいのか!?」みたいな煽り系が多いのもそのためです。人々の欲望・利益のようなものを刺激している文言が多い気がします。時に、教祖から学んだ煽りを、サロン外の人に対しても口にする信者を見かけるところからも、教祖と信者の間で取引が完結しないことがうかがえます。

ネットワークビジネスが嫌われるのも同じ構造があると思います。ネットワークビジネスをやっている人は、その商品を良いと思い込んでいるというだけならまだしも、儲けられるという自分の欲望が入っており、それを広げることでその欲望を満たせる(かもしれない)ビジネスモデルになっているところがたちが悪いですよね。

***

違いはグラデーション🧎🏻‍♀️🚶🏃‍♀️

とはいえ、実際はサロン内にも自己満足で入っている人と、サロン外の人にも迷惑をかけてしまうような信者とが混じり合っているのが実態でしょう。一口にオンラインサロンといっても様々ですし、他人に迷惑をかけていない参加者の方を外から非難するのはナンセンスでしょう。

信者ビジネスとファンビジネスの違いは明確にできるものではなく、実際はグラデーションになっています。

とくに、情報の非対称性を活用したビジネスは、誰がやっているか?が大事だと思います。キャリアがきちんとしたジャーナリストなのか、よく分からないインフルエンサーなのか。

また、違いを見分けるコツとしては、コンテンツ内容や信者が、サロン外の他者を攻撃するかどうか(xxさんがこう言ってるんだから、絶対正しいんだ!)。扇動的なコンテンツはちょっと黄信号がつくかなと思います。

どこまでいっても、人によって価値観は色々異なるので難しいですよね。

theLetter では、良いコンテンツや良い書き手を、純粋な気持ちで広げてもらえるようなシステムにしていきたいです。

***

さいごに💐

いつもこういったアウトプットをしていますが、自分はすごく思考の整理が苦手です。フレームになにか押し込めるのが嫌いで、モヤモヤ考えていたり、物事がふわふわした状態で脳みそに浮かせておくことが好きです。

でも、誰かに伝えたい時や目的あるプロセスを改善するにはすごく不便なので、スキルとして思考整理を身に着けようと、直近 2 年間くらい頑張ってます。

基本、全然ダメなのですが、上手くできる瞬間があって、それは思考整理が得意な人と話すこと、あるいは思考整理が得意な人の Podcast を聞く瞬間です。思考整理が得意な人の喋りって、すごく整理されていて、喋るのを聞くだけでも整理の仕方の参考になります。

今回、theLetter でレータルームという機能をテストローンチしています。読者さんと意見交換できるような機能になります。よかったら、今回の記事内容について、皆様のご意見を聞かせてください😌

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itaru.theletter.jp
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