今日のテキストメディア

テキストメディアの現状と未来について記述してみました。
itaru hamamoto (至)
2020.09.26
誰でも

ニュースレターを採用した、次世代パブリッシングツールである theLetter を開発にするにあたって、ずっとテキストメディアの現状を調べてきました。

テキストと言えば、、、私は恥ずかしながら、大学に入るまで本をほとんど読んだことがなかったです。しかし、大学の途中から読書にハマったことで、テキストメディアから情報収集をするようになりました。(よかった・・・!笑)

テキストメディアは、個人ブログやニュースメディアなど色々あります。最近は企業やブランドのオウンドメディアも相当増えてきましたね。

一方、数年前から動画の勢いが止まらないです。何でも YouTube で学べる時代。しかしながら、この記事を読んでくださっている皆さんはおそらくテキスト好きだと勝手に感じています。笑

今回は、テキストメディアについて色々と現状をまとめるとともに、未来についても色々と私見を書いていきたいと思います。

***

フリーライター・ジャーナリスト 40 名にお話を伺って

私はフリーでご活躍のライター様、ジャーナリスト様、専門家の方々 40 名以上にご協力いただき、ヒアリングを実施しました。(ご協力いただいた方、ありがとうございます!)

それぞれの業界で実績のある方々にヒアリングさせてもらい、中には、私が個人的に憧れているジャーナリストさんにもお話できる機会があったりと、それぞれ非常にエキサイティングなヒアリングになりました。

しかし、8 ~ 9 割くらいの方が「ライターの将来、メディア業界の将来」に不安をお持ちでした。取材費に毎回交渉が必要だったり、寄稿単価の低いメディアが多かったり、寄稿先の媒体がなくなったり、、、。様々なシグナルがあります。

また、上記のような理由から、有名なジャーナリスト様は「今の環境では若いライターが育たない」とおっしゃってました。

テキストメディアが苦境に立たされているのは、媒体各社のネット転換がうまくいかなかったからだと考えています。まずは「紙」のメディアである雑誌から見ていきましょう。

テキストメディア「雑誌」

雑誌業界はこの 20 年間で 1.5 兆円から 0.5 兆円の市場規模になりました。雑誌の仕事数が 20 年前の 3 分の 1 以下になっていてもおかしくありません。紙媒体からインターネットに転換したメディア企業がほとんだと思います。

実は、私は雑誌をほとんど買ったことがないです。小学校からインターネットに触れていたし、雑誌は高いと思っていたので買う機会がなかったです。

そのため、あまりクオリティなどは分かりませんが、インターネットメディアと比べるとかなりしっかり編集(校閲 + 校正)が入るようです。

一度印刷されてしまうとなかなか修正できないので、編集者による入念なチェックが入るため、ライターとしての腕も磨けるのだそうです。

しかしながら、雑誌はどんどんなくなっています。一部は早くからインターネットに主戦場を移し、生き残っている元雑誌も多くあります。

ネットテキストメディアの戦い

インターネットは情報で溢れています。2008 年時点で国内のブログ記事だけでも毎日 180 万記事が追加されています。現在はこの数倍あるでしょう。つまり、広告を貼れる面積が膨大に増え続けているのです(ネット広告業界の人はこの面積を表示期間と合わせて「在庫」と呼んだりします)。

一方、ここ数年はスマホが普及しきって、人々のインターネットの利用時間が横ばいになってきました。つまり広告閲覧の消費速度がほぼ一定になったということです。

ほとんどのインターネットのメディア各社は広告売上に依存しています。広告の在庫が増え続けているのに、消費速度が一定のため、1 PV あたりの単価は当然落ちていきます。その証拠に、ネット広告市場全体は伸びているのに、ディスプレイ広告が減少しています。

メディアが出す Web 記事には動画広告もたまに見かけますが、ネットで記事を読む限り、多くのネットテキストメディアはディスプレイ広告が主流と思われます。

PV は各社伸ばせていたとしても、ディスプレイ広告市場が減少傾向にあるということは、PV 単価が下がってきていると考えるのが自然なのではないでしょうか?

さらに、以前の紙媒体中心のメディアは広告単価のコントロール権を持っていました。しかし、インターネット転換が遅れ、ネット上の広告単価のほとんどは Google, SNS 各社, ニュースアプリ(SmartNews など)が決定しています。プラットフォーム依存については「個人とニッチの時代」でも解説しています。

itaru.theletter.jp

ネットテキストメディアでも単価を決められる広告枠はありますが(純広告)、そういった広告は常に営業や企画が必要だったり、広告主を獲得するために人件費がかかるのです。

PV 単価が落ちているので、もっと PV を上げないといけない、、情報の質に関係なく、記事がクリックされることが重要になります。

これがフェイクニュースや釣りタイトル記事が生まれる理由の一つです。個人はともかく、そういった釣りタイトル記事が大手メディアからも出てきてしまうところに、ネットテキストメディアの苦しさが見て取れます。

これは読み手として、非常に困ります。この状態を改善するためには、メディア企業が次のビジネスモデルを発見する必要があります。

ネットテキストメディアの未来

広告モデルでテキストメディアを運営していくのには限界があることを記述してきました。

でも、全ての情報収集を動画や音声から得るのは少し寂しいですよね。個人的には短時間で多くの情報を得ることができるし、思考しながら自分のペースで享受できる優れたメディアだと考えています。

それでは今後、ネットテキストメディアはどのようにお金を稼いでいくのか?広告モデルではないのなら、読者からの直接課金のモデルが考えられます。

私は将来、ネットテキストメディアの多くは企業ではなく、個人や小規模なチームによって運営されることになると考えています。なぜなら、読者からの直接課金を大きな企業運営のもと成り立たせようと思うと、大量の有料購読者が必要で、そういったカテゴリはある程度限られるからです。

テキストメディアだけだと月額 2,000 円以上の単価設定は非常に困難でしょう。それだと年間 1 億円の売上をあげようとすると、約 4,000 人の有料購読者が必要です。10 億円だと 40,000 人。あの有名な NewsPicks でも、有料会員は 10 万人を超えたばかりと考えると、そう簡単に数万人の有料購読者がいるメディアがボコボコと立ち上がるとは考えにくいのです。
※NewsPicks はネットテキストメディアというより、ニュースアグリゲーションサービスに近いですが。

国内で最も大きな有料ネットテキストメディアは日経電子版です。有料会員数は 70 万人以上。しかしながら、日経電子版以外の有料会員数数十万人超えのメディアは朝日新聞デジタルくらいで他にはまだ存在しません。

個人的にこれからの有料テキストメディアの注目は、The HEADLINE さん。記事のクオリティが非常に高く、日々のニュースや社会問題に対して分かりやすい解説が早いスピードで更新されます。

www.theheadline.jp

他には、Axion という有料メディアも非常に良質で尖ったネットテキストメディアです。

www.axion.zone

一方で、有料のネットテキストメディアはニッチなカテゴリと非常に相性が良いです。広告モデルでは数十万人の読者がいないと成り立ちにくい一方で、読者からの直接課金モデルは 300 ~ 1,000 人の読者さえいれば、1 ~ 2 人の運営体制ならば十分持続可能です。

また、無料であることの副作用にも人々は気づき始めています。金銭的には無料でも、誰かの承認欲求、企業や個人の PR、アフィリエイト収入目的、など、良質な情報提供以外の目的や意図が渦巻いているのです。

読者からの直接課金は、読者に良質なコンテンツを届けること以外の意図はほとんど含まれません。今後は情報取得にお金を払う人がどんどん増えてくるでしょう。

その流れは数々の世の中の変化の中で生まれてきています。

  • 誰でも有料テキストメディアを始められるようになった(決済技術の汎用化)
  • SNS の発展により、低コストでプロモーションができるようになった
  • 情報氾濫により、情報整理や信頼性があること自体に相対的な価値が生まれた

上記の変化により、これまでは世に出てこなかった個人の専門的な知見がどんどん出てくる可能性があります。

これまでは学びようがなかったことを月々数百円で知ったり、考えたりできるようになるのです。

インターネットの個人へのエンパワメントの歴史はまだまだ序盤なのかもしれませんね。

***

本当はもっと書きたいことがあったのですが、自分の編集能力では 1 記事にまとめきれなかったので次回に持ち越すことにします。次回はネットテキストメディアの海外の流れについて色々と書いていければと思います。

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PS 久々に下北のスピンアウト系二郎である「ラーメン 玄」さんに行きました。

<a href="https://www.instagram.com/shimokita_g/">ラーメン玄 </a> 撮影 itaru
ラーメン玄  撮影 itaru

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