メディアにおけるモール型とスタンドアローン型

EC業界の変化がメディアでも起こりつつある
itaru hamamoto (至)
2020.07.26
誰でも

IT の業界というのは、基本的に発散と収束を繰り返している。

例えば、旅行窓口でできることを自動化した画期的な旅行予約サイトが生まれれば、皆がその予約サイトに収束する。

予約サイトが儲かると分かれば予約サイトが乱立する。そうして予約サイトは発散していく。

そうすると次は旅行予約サイトの比較サイトやアグリゲーションサービスが出てくる。価格が最安のプランを旅行サイト横串で検索できるようなサイトだ。そうして旅行予約サイトは収束される。

ひとまとめにされた旅行予約サイト各社は価格勝負を強いられる。そうすると各社差別化を考え、新しい体験を考え出す。

そうしてできたのが Airbnb とも言えるんじゃないかな。

このように、IT のサービスは常にまとまったり、新しいものが出てきたり、、というのを基本的には繰り返している。

テキストメディアの歴史

1990 年代後半、Blogger などの大手ブログサービスが登場した。

はてなや livedoor ブログ、Ameba ブログの前身となるブログサービスも 2003 年に誕生し、ブログで収益化できる Google AdSense もこの頃に誕生。

2005 年には「ブログ」が流行語大賞に選出されたりと、ブログブームが加熱。

web 上の投稿が増え、Naver まとめなどのまとめサイトが 2009 年頃から人気を博しました。

このように発散と収束を繰り返してきました。

コンテンツが増えればそれをまとめるサービスが出てきて単価勝負になる。単価勝負になれば、付加価値を求めて体験のアップデートが行われる、、、。

そうして、大きなテキストメディアの体験のアップデートが行われたのが、Medium・note の誕生の頃です。

2012 年に Medium、2015 年に note が誕生しました。

書き味の良いテキストエディタ、広告のない読みやすい記事フォーマット、SNS 的なソーシャル性。

ブログ体験がアップデートされました。

ソーシャル性、そしてコンテンツのマッチングアルゴリズムにより、サービスを街化させることでその場所自体に人が集まりました。

また、決済技術の汎用化により、広告収益ではなくコンテンツそのものにお金を払うことが簡単になりました。

これがテキストメディアのモール化です。まさに記事を街化したサービスに出品しているイメージです。出品者はその街の集客力と信用力に乗っかることができます。

EC 業界のモール → スタンドアローンへの変化

一方、EC 業界はテキストメディアと違って、古くから広告ではなくモノを直接ネット上で販売してきた。

物販の EC 化は仕入れや決済、発送など、乗り越えるハードルが高く、個人や各社がすぐ真似できるものではなかった。

Amazon や楽天は古くから、そういったハードルの高い部分を代行してきた。(だから手数料が高いのだ、、、!)

EC 業界といえば、モール型のビジネスだった。ここで、モール型ビジネスの特徴をあげておくと、

  • 集客力と信用力がある
  • レビュー・コメント・いいね!などの指標とアルゴリズムに依存
  • 手数料が高い
  • 価格勝負に陥りやすい、セールが多い

ところが最近、Shopify や国内でいうと BASE などのネットショップ系サービスが急成長している。

モノが溢れる時代というのは、利便性だけでなく、意味やストーリーで差別化をする必要がある。

例えば、椅子という品物をモール型で検索して買うとき、一番安いものはどれか、レビューはどうなってるか、などの要素が購入への意思決定のほとんどを占めると思う。

しかし、付加価値をつけることで、価格などの無機質な指標の外で戦いたい出品者は、意味やストーリーを売る必要がある。そうなってくるとモール型のネットショップで出品していてはジリ貧となってしまう。表現の幅も薄い。

ところが、Shopify や BASE などのスタンドアローン型のネットショップはサイトのデザインをカスタマイズできるし、他商品と並べて比較されることもない。セールなどもコントロールできる。

それが昨今、D2C と呼ばれるカテゴリが成長している理由であり、ネットショップ系サービスが急成長している理由でもある、と私は考えている。

テキストメディアの次のカタチ

テキストメディアは今、誰でも投稿できるサービスが主流となっている。しかしそこは、アルゴリズムで書き手と読み手をマッチングさせる、いわゆるモール型ビジネスで溢れている。

昔からあるブログサービスは広告でしかマネタイズできず、検索ボリュームのあるネタを書くことでしか収益を生み出せない。(そしてそのようなキーワードは大手のメディアに取られていく、、、)

モール型で販売される記事は、常に同じフォーマットと同じ指標で比較をされることになる。(そして手数料が高い、、、!)

今は集客は SNS を使って低コストでできる時代であり、個人に武器さえ与えられれば、十分 1 人でビジネスをすることができる。

自立、、そう、スタンドアローン型のテキストメディアビジネスが今こそ求められている。

そうして完成したのが、「theLetter」です。

theletter.jp

theLetter は、個人が web 記事とハイブリッドのニュースレターを発信できるサービスで、各々のドメイン上でビジネスを展開できます。

ニュースレターは有料・無料が選べ、基本的なデータや顧客リスト(メールアドレス)が書き手に共有されます。

自立した個人が、自分のやり方、自分の付加価値で発信できるテキストメディア・サービスなのです。

もっともっと意義のある理由があったりするのですが、それはまた追々。

***

新しいアイデアを思いつくのは簡単だけど、それが過去と未来を含めた歴史上どうポジションさせるのか、という整理が肝だと思ってる。

顧客の課題のみから発想するのは非常に難しい。車のない時代に、馬車での移動は時間がかかる、という課題を明言できる人は少なかったはずだ。

もし、IT スタートアップとして何かのサービスをローンチするなら、歴史を捉えて発散と収束のリズムを読むというのは一つポイントかもしれない。

もし、このような類の発信が気に入っていただけたら、この記事の下のフォームから登録いただくと、今後の発信を見逃さず読めます。

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ではまた。

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